2011年2月13日日曜日

「プロボノ」 企業も後押し

 コンピューター企業のソフト開発、金融機関の財務管理…。民間企業の社員が仕事で培った経験や知識を生かし、NPO(民間非営利団体)などを支援するボ ランティア活動「プロボノ」が浸透してきた。利益ばかりを追求する働き方を見直す機運の高まりなどが背景にある。企業が組織的に後押しする動きも出てお り、社会貢献活動の新しい形として認識され始めた。

「ベンチャー企業の志が刺激になった」「自分の仕事が形になり感動した」

NECが今月、プロボノで支援した企業2社を招いて開いた会合。出席したNECの若手社員は、支援先から活動報告を聞かされると一様に目を輝かせた。

NECは昨夏、プロボノチームを作った。メンバーは若手中心の15人。支援先の1社は、採血による健康診断事業を首都圏で展開するケアプロで、もう1社 は農業の収益性向上に向けて高糖度トマトを生産・販売するオリザだ。それぞれ医療と農業の構造問題解決を目指す社会起業家が作ったベンチャー企業だ。

NECはケアプロの顧客情報をデータベース化。診断結果を時系列でグラフ化し、健康状態に応じて診療所を紹介する携帯電話向けプログラムも作った。4月から本格稼働し、ケアプロの川添高志社長は「顧客や広告収入の増加につなげたい」と意気込む。

オリザ支援では、休日に栽培現場を訪れ、農業専門家にも取材してホームページを刷新。NEC側責任者の小林義明氏は「仕事で接点のなかった農業政策の問題を共有できた」と語る。

2000年代以降、欧米で広がったプロボノは、金融機関などの「金もうけ主義」への反発もあって拡大し、日本でも注目されるようになった。希望する個人をNPOなどに仲介する特定非営利活動法人「サービスグラント」(嵯峨生馬代表)の昨年の登録者数は約650人と、前年の2・5倍に急増している。

最近は企業も積極的に参加。ゴールドマン・サックス証券が女性社員中心のチームを作って教育・子育て関連のNPOの財務の見直しを支援しているほか、日本IBMも教育関連のNPOを支援している。

企業側にすれば、社員のやる気を引き出すと同時に取引先開拓やイメージアップも期待できる。サービスグラントの嵯峨代表は「寄付など従来の社会貢献事業を一歩進めた新しい形のボランティアで、地方にも広げたい」と話している。

【用語解説】プロボノ

仕事上の経験や知識を生かしたボランティア活動。ラテン語のPro Bono Publico(公共善のために)が語源で、米英の弁護士が始めた無料法 律相談が始まり。資金力や組織力に乏しいNPOや、社会問題解決のためベンチャー企業を起こす「社会起業家」らが支援先となる。

社会貢献活動にNPO法人等への寄付や助成金を拠出する企業は多くありますが、「プロボノ」はそれより踏み込んだ支援となってます。お金ではなく 知識を無償提供する・・・。支援される側は欲しい専門知識が得られるわけですし、支援する企業側にとってもそれは支援効果をよりはっきりと確認できるのではないでしょうか。

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