2010年12月4日土曜日

エコポイント、その大波と余波

住宅エコポイントの人気の高まりを受け、代表的な住宅断熱材のグラスウールが不足し、省エネ住宅の建設が大幅に遅れている。従来のほぼ2倍の国産断熱材の 使用が義務付けられており、生産が追いつかないためだ。今年10月までの消費量は昨年1年分の生産量に相当し、約2万戸分のグラスウールが来春まで不足す るとみられる。このまま建設の遅れが続けば、建築代金の支払いが延び、資金繰りに行き詰る工務店が増える恐れがあるとして、経済産業省と国土交通省も実態 調査を始めた。

住宅エコポイントの対象となる「次世代省エネ基準」は、従来のほぼ倍の国産グラスウールの使用を定めている。08年のリーマン・ショックで急減した国内 の建築需要を刺激する狙いがあった。10年度上半期(4~9月)の新設住宅の着工戸数は、前年同期比6.2%増の40万7895戸。エコポイントを申請し た省エネ住宅は10月末で10万9445戸に上り、新築の省エネ住宅の比率は約1割から約4割に増加した。

エコポイント人気によるグラスウール不足は、中小工務店の経営に影響が出始めている。国交省が先月実施した全国約1700の工務店を対象にした調査によ ると、「代金がもらえず年が越せない」「お客に工事が延びることを言い出せない」など建設の遅れや経営への不安を訴える声が上がっており、全体の約6~7 割が来年3月までの受注分に必要なグラスウールを確保できる見通しが立っていないという。

経産省と硝子繊維協会の推計によると、今年1~10月の住宅向けグラスウールの消費量は約10.9万トンで、同時期の生産量(約10.8万トン)を上 回った。国産品は大手2社が全体の約8割を生産しているが、金融危機以降、住宅不況のあおりで大幅に減産。今回の需要急増には在庫と増産で対応しているが 「受注残は約1カ月分あり、来春までは注文がさばけない」という。住宅向けの不足は推定約1万トン(硝子繊維協)で、標準的な省エネ住宅1戸で約500キ ロのグラスウールを使うため、約2万戸分に相当する。経産省はメーカーに対し、増産や輸入の検討、中小の工務店への供給に配慮するよう求める通達を出し た。

”住宅エコポイントの対象となる「次世代省エネ基準」に、従来のほぼ倍の国産グラスウールの使用を定めている”とは知りませんでした。国内メーカーへの助け船となっているわけですが、需給バランスの崩れが中小工務店の経営に影響・・・という、なんとも裏腹な状況です。本来ならこの政策で大企業だけではなく、末端の中小企業までもが潤うはずなのに。いや、潤わなければならないのに。何か苦々しく感じます。

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